巨船

巨船

東扇島へまた 撮影にゆく
防波堤の鉄柵にもたれて 何気なく海を見て下さい と
言われても なかなか何気なくが なんかあるになっちまう
煙草とか吸うのもいいですね
風が強くて ジッポーでも火がつかない
やっとついたと思ったら みるみる灰になってゆき 
火種が指に近づいてくる
フィルターだけの煙草を海に捨てて ちょっと沖を見たら
巨大な船がゆっくり動いていた
寸胴で 尻切れトンボのその巨体に なにが入っているのか
全くわからない
ただ 音もなく ゆっくりと 太平洋へと向かっていた
波もたてずに