墓

祖父祖母叔父が眠る 墓を磨いた
母親がずっと行っていたが 足が少々重くなったらしい
ひとり住職さんと話すのも不思議な気持ちだ
「おとうさまの具合はどうですか
 おかあさまはお元気ですか」
通り一辺倒の答えしかできない
「線香をいただきます」
200円払って 煙る線香二束と仏花二束 手桶と雑巾を持って
墓を探した
大粒の雨が まばらに落ちてきた
でも 空は明るい
時々 ジュッ と線香の火に当たる
なんの信仰もないのに 全てが終わると 手を合わせた
ここを心地よい居場所と感じる人はいないだろうに
妙に落ち着く場所ではある