再び

築地高速下を走る

舞い戻ってしまった廊下は 二ヶ月前と変わらない
枯れた流木のような父を背負って 階段を降りなくてもういいんだ
目の色を伺いながら 話さなくていいのだ
山のように積まれたティッシュを片付けなくていいんだ
でも 気持ちよく湯船に浸かる姿はもう一度見たい
腰の無くなった白髪をもう一度洗いたい
肩胛骨の飛び出た背中の汗を拭いてあげたい
まだまだやりたいことはあるんだぞ