本当に死体はあるのか

柘榴の木の下には本当に死体が埋まっているのか
柘榴は本当に人間の味なのか
この家には二本の柘榴の木がある
玄関脇と庭に一本ずつ
庭の柘榴はよく実をつける　ぱっくりと割れて　なんとも言えない
玄関脇の柘榴は　母が言うには50年ぶりに実をつけたという
その実が落ちて　車のボンネットを紅く染める
それだけならいいが　隣の駐車場まで枝は伸びて
今にも5、6個　スイフトの上に落ちそうだ
だから伸縮式高枝切鋏を買って来た
すでに死体がどうのこうのなんて忘れて
ただ　ただ　高い脚立から落ちないように　一個一個
何とも言えないぱっくり柘榴を切りとった
それが　実に甘い　苦労しただけのことはあった　ということか

甘い柘榴