カステラ

カステラの箱

朝 頂き物のカステラを食った
勢いよく食って 一本の半分まで食ってやった
誰もいないし 文句も言われないし 口の周りベトベトにしながら
底の紙についたザラメは 指で丁寧に削ぎ落として 食った
なぜそんなにカステラに立ち向かうのか というと
小学生の頃 今はいない祖父に盗人呼ばわりされたからだろう
ほんの一切れ勝手に食べただけなのに カステラ泥棒になった
目を三角にして怒る祖父は 怖かった
だから今でも 勢いよく食う 味もへったくれもない
憎しみはないが 恐怖がそうする



カステラ