品川で一回転

クリオネ

品川で子供のように一回転して タツノオトシゴになった
何よりもこの生物が好きだ
この場合 バクは生物には入らない 家族である
タツノオトシゴはなぜにいつもじっとしているのか
ずっと昔からこんな風体で 水の中を漂っているのか
それは50数年生きてきただけの人間にとって脅威である
そして 彼女はクリオネだったのか
半ば透明な身体が優しく何かを訴えるように 動く
知らない世界に行ってしまいそうな 危うさを秘めて
変な形の鮫が天井に張り付いて 休みながらこちらを見ている
散々打ちのめされて水族館を出たら 一回転しようと言われた
彼女は手放し オレはしがみつき 品川で一回転した日は終わった


タツノオトシゴ


天井の鮫