ちんちんかすてら

ちんちんかすてら

吉祥寺でリハがあったから 1年ぶりで母親の実家に寄った
玉川上水から五日市街道にぶつかるとその家はある
青梅からのトラックや関東バスが通ると その家は揺れる
昔 貨物列車を走らせていた線路は 緑道になっていた
ちょっと自分を捜しに周囲をうろつく
しかし 肥溜めはなかった ずぶずぶと埋まってしまった肥溜めはもうない
ほとんどが宅地になっていて 畑なぞない
肥溜めに落ちると気が狂うぞ と今は亡き祖父に脅されたのを鮮明に覚えている
五日市街道は変わらないなあ と突っ立っていたら 
「ちんちんかすてら」という屋台が光り輝いていた
ちょっと買いそうになったが どうも生き生きしていないのでやめた
後で口の悪い叔母に聞いたら「やめてよかったよ」と言う
で 「今日は天ぷらじゃないよ」 と飯をすすめてくれたが
「腹は減ってないからいいよ」とコーヒーだけもらう
この家に来るとよく野菜の天ぷらを食わされたのだ
何も変わらない時間がここでは流れている



実家の亀