暖かい朝だった

夜明けの十字路

午前5時になると いろんな家から犬がやってくる
しかも マンションが多くなったせいか みんな小型犬
遠く飼い主の足元をうろついていても見えない
バクはそれをいち早く見つけ 吠える
冬は鎖のリードが手にくい込んで痛い だから
散歩は何とか5時前に行く まだ夜の時間だ
今日は雨上がりの暖かい5時前だった
公園の土は湿ってはいたけれど はね上がるほどでなく
アスファルトは街灯でテラテラしていた
風はなく 湿った冷たい空気がそこかしこの十字路にあつまって
静かに朝を待っている 壁は いつも何か言いたげだ
まだ濡れて 光るマンホールの下 血が流れる音が確かに聞こえる



雨上がりのマンホール