眠りの椅子に今日も寝て

眠りの椅子

左腕の表皮が痺れているのは、寒さのせいか。
腰を曲げ、足を組んで、頭は眼鏡をしたまま萎れた向日葵のように下を向き、
昏々と椅子に座り眠るから、カチカチになった首が左腕の表皮を痛めつけるのか。
とにかく、たいした考え事もしていないのに、寒い部屋の椅子で寝てしまう。
大体、面倒なのだ。
まず、食事をするのが面倒になり、食器を洗うのが面倒になり、
風呂に入るのも面倒になり、何から何まで面倒になり、椅子で寝てしまう。
最終的に、起きるのが面倒になって、でも机の上のかりんとうを食べる。
4つほどたて続けに食べて、その甘さに幸せになって、やっと椅子から立ち、ベッドにもぐる。
するともう首は回らないほど硬く、足はこん棒のようにむくんでいる。
しかし極稀に、いいアイデアを囁いてくれるから、この椅子は捨てられない。
年に一度いい夢を見せてくれるから、この椅子は捨てられない。