勿体無い新品

新BASS

三十数年前、初めはジェリー・ガルシアかステファン・スティルスのようなギタリストだった。
でも、もっとガルシアみたいなギタリストがいて、それでは、とジム・ケルトナーになる。が、
難しいことを要求されて、じゃあ辞めた、とスティックを投げる。
ピアノは高校時代唯ひとりの友人が弾いていた、だからできない。
ベースしかない。で、ベースを借りて弾く。
借り物のベースは焼けただれていた。ニスも剥げて、スライドするとネックで手のひらが熱くなる。
ま、ながいことベースは弾かないだろう、と我慢していたが、現実はそうじゃなかった。
渋谷の楽器店の裏倉庫に隠されていたようなエピフォンのベースを買い、文京公会堂に出た。
そのベースは弾きやすかったが、なにしろ古い物なので信用性に欠けていたし、
ボタンonかoffでカリカリかズーンか、どちらかしかなく、いろんなことはできなかった。で、
アイドルのためにフェンダージャズベースを買う。
それから三十年、エレキベースを買ったことがなかったが、去年暮れ、2本目を買った。
しかしなかなか上手いこといかない、好きな音が出てこない。
だからずっと自宅のスタジオに飾って置いてある。
困った、というより、勿体無い。だ。