海のロボット


ロケハンの下見で 川崎東扇島に行く
こんな空は滅多にないだろう ということで カメラも回した
富士が遥か彼方 陽が沈むところに 大きい姿でいる
雲は低く 乱雑に垂れ下がり 風は四月にしては冷たく 強い
どんどん変わってゆく景色の中で 自分だけが置いて行かれる
それは結構 気分がいいものだ
景色から落ちこぼれてゆく自分は 意外な人間だったりするかも
小さなクラゲを一匹見つけた
海面を死んでいるのか 生きているのか ふわふわと 漂っていた
対岸の 海のロボットは 段々 影になっていった