2006-08-23 白い風 白い風が吹いていた いくつもある病室の窓や扉は開け放たれて 白い風が 天井低く吹いていた 午前中 母親と見学した老人病院 まだ彫られたばかりの地蔵のような顔をしたおばあさんが エレベーター前に 車椅子に乗っていた 自我を失いながらも 生き続けている人ばかりだ こんなところに親父を入れられない 母と同じ意見だった まだ自宅には 生暖かく 臭い風が吹いている オレの息や 母親の体温が 生きているなんとかやれるだろう と母と思った