踏切を渡ると

踏切を渡ると

毎日のように この踏切を渡る
しかし 同じ景色に出会ったことがない
そんなに素早く町は変わらないはずなのに いつも違う
今日は遮断機につかまらなかった
昨日は赤い特急電車が 猛スピードで目の前を突っ走っていった
タイヤをキュッと鳴らしながら渡る時 いつも思う
ここで止ってしまおうかと
しかし そんなのは妄想であった そんな気はさらさらないのに
そう思おうとする 狡猾な自分がいただけだった
今日は空の低いところで風が強いようだ
夜空の雲が電車よりも速く動いている




夜空に雲が走る