虚脱の月

多摩川の月

月を見にいったというのに 赤い虚脱の月だった
多摩川べりに車を止めて 川崎の空ぎりぎりに
街の灯に消されるなんて まったくないほどでかい
でも 命は短かった 沈んで行くのがわかる
ほんの10分くらいで なにかの建物に消えて行った
昨日までの忙しさは いったいなんだったんだろう と
心は 虚ろに 手探りで 川辺のすすきをつかもうとしている
いや まだなにも終わってはいない
一瞬 モゾを見ただけ
すっきりとしなくてはならない 



赤い月