インストアライブ

インストアで、あがたさん

こういう機会がないかぎり 日曜の新宿に足を踏み入れたりはしないだろう
でっかいギターを背負ってホームを歩くのは 大変だった
何人もの人をホーム下に突き落としそうになりながらも 辿り着く
この町がこんなに膨張してしまったのはいつ頃だったんだろう
10代の頃 人は多かったがもっとのんびりしていた記憶がある
そんな呆然とした気持ちのまま 演奏を始めた
だから 自分がどんな風だったか あまり記憶にない けれど
直枝君とふたり ほんわかと楽しかった
一度だけ前々日くらいに音合わせしたが ふたりとも練習嫌いだ
それは それだけ本番に賭ける気持ちが強いということ
それと 何が飛び出るのか お互いに楽しみにしているということ
40代50代男ふたりは いい加減に健全に 不埒に堂々と 歳をとってきて
今ここに歌を歌い ギターを弾いている ただそれだけなんだけれど
50代男の方は無邪気に嬉しくて仕方がないらしい




インストア楽屋にて 直枝君