猥雑な町

いつも車の中から眺めるこの景色 灯りが淀んでいる
この不思議なT字路には 猥雑だがどこか力がみなぎっている
淀んだ灯りの上に 突っ走る電線
またその上には 澄んだ11月の夜空がある
しかし 車から降りて身を投じる勇気がない
ただ きみを待つだけに ここにいる
エンジンは切って ハザードも付けずに
後ろから誰がやってくるかもわからないから ミラーはたたまず
アスファルトの下を流れる水の中に 幾千の汚物を感じながら
ただ きみを待つだけに ここにいる



猥雑な町