始まり

12階からの東京タワー

子供を見てくれ と娘夫婦が言うので 朝10時から孫の世話にゆく
いつもは一家で店を切り盛りしている家で 
孫はお店の2階に寝かされて安全らしい
が どうもインフルエンザが蔓延して 
そこにはおけないということで呼び出された
12階の新居から東京タワーとジェット機が見える
自分は何もしていないのに随分立派な生活だ と妙な感心をしていると 泣き出した
テレビでも見て夕方を待てばいいかと思ったのがあさはかだった
教えられたとおりミルクを作り 口元にさしだすとこっちの顔を見ながら吸い出した
あっと言う間に200ml飲んだ
でかいゲップをしてしばらくバタバタしていたが寝た
それを見て安心したのか こっちも眠る 夢のない眠り 知らないうちに夕方になってしまう眠り
さあ 身支度をして乳母車に乗せようと思ったら ウンチの香り
30年ぶりに取り替える が違うことはこの子にはちんちんがついていること
なかなか拭くのがめんどくさいもんだ
そしてきれいになって寒い夕方の町の中 乳母車を走らせて無事娘夫婦に引き渡した
可愛いけれど 特別な感情が湧かないのは変な気持ちではある なんだろー と思う



12階からの冬の路地