屋上の遊戯場

屋上の遊戯機

百貨店の屋上の遊戯場はなぜか冬が似合う
きりっとした冷たい空気が 錆びたボルトや剥がれ落ちた鉄の肌に容赦なく 
それら名も知れぬ動物の乗り物は キイキイと悲鳴をあげているようだ
彼女はゴンドラに乗りたそうだったが たかだか数メートル高くなるだけだ
と 断固として乗らなかった
この場所から見る細々とした町の屋根が 大パノラマになるのだったら乗ったのか
というと そうでもない
乗るにはしのびないゴンドラだったのだ
見ているだけなら風情はある としておいても参加するのは別問題だ


ここは子供の頃から好きな屋上
バカは屋根の上と屋上が好きというけれど それは当たっている
1階下の食堂で母とプリンを食べて必ずここへ来た そして次の日
必ず伊豆の養護施設に行った
ボルトや鉄の肌はその頃の亜硫酸ガスを目一杯浴びている でも
悲鳴はあげても現役で今 ここにいる
冷たい冬が似合う屋上に また来てみよう



屋上のゴンドラ