徐々に

午前中 母を連れて病院にゆく
ここんとこさっぱり楽器に触れていない日々が続く
病院から帰ってすぐまた 孫の世話にゆく
触れてなくても妙に充実した日々なのはいかがなもんか なあ
この日はミルクも飲まず ウンチもせず ほとんど寝ていてくれた
充実ではなく 単にすることがいっぱいというだけか と思い
寝顔を見ながら 手帳に詞を書く


裸のストロー

返事のいらない会話をしたいと彼女は言った
ただ静かに抱かれていたい
骨のきしみを感じながら
見たこともない朝を迎える
裸のストローを噛みながら
オレンジジュースを飲む彼女の足先はいつも裸足
木の床にしがみついてここを離れようとしない
どんな風が窓から吹き込もうともここを立ち去ろうとしない
彼女に言えないただ一つの言葉 さよなら


じいちゃんはこんな訳の分からんことしてるのに 起きて笑った
まずい 徐々に孫の術中にはまってきたようだ



病院裏の屋根