始まり 徐々に そしてついに

始まり 徐々に そしてついにはまったかも
三日目ともなると些細な表情の違いがわかる
研究対象ではなく愛すべき孫となったのか
寝ている間 ベランダに出て煙草を吸っていたら
でかいジェット機が着陸態勢をとっていた
風はまだ冷たいがどことなく春が近くにいるような空気だ
煙は瞬く間に 青い空に吸い込まれて行く
彼が寝ていると何にもすることがない だからまた詞を書く


歪んだバスタブにカマキリの足跡
それを舐めて消したのはナメクジ・ジェームズ
そして宙ぶらりんな庭で葉を食べた
青としか言いようのない青い空にゲップをする
渡り鳥のマントがそのかすかな音を聞くと
少しスズカケノキに休んだ
枝が大きくゆれて驚いたのはカラスのフック
目一杯に羽根をひろげて電柱にとまった
こんな安らかな日がずっと続けばいいとバクは思った


気がついたら彼は 部屋の隅まで仰向けで動いていた
泣きもせずひとり天井を見つめて運動していたのか しかし
指をしっかりしゃぶっているのでミルクをあげた
この腕の中の重みはなんだろう ずっしりと そして暖かく
また200ml軽く飲み干し ウンチをした この子は出かけようとすると する
同じようにきれいにして厚着させ乳母車で娘夫婦の元へ
顔をあまり見ないように別れる 重さと暖かさがまだ腕にあるから
グランパ・ベビーシッターはこれでおしまい 勝手に生きろよ