退院近し親父は‥‥

汐先橋交差点

退院が近い親父の所へ 洗濯にゆく
何か機嫌が悪い
「バカ」「勘が悪いやつだ」「うるさい」
とにかく いろいろ書きたいことを書いてやがる
まあ いいか しょうがない 病人だ 
クルクル兄も来た 
病院でもまだ クルクルだ が もう腹筋は痙攣しない
夕食時間だったので ふたりで病室を離れて眺めの良い談話室で 今後を相談した
が わからないことが多すぎて 何通りもの答えしかでない
しかし 時間はこの一週間しかない
来週からはずっと家にいないから
こんなに重なるものなのか 神様よ
いや 神棚はあるが 神なんか信じちゃいないんだった
ふたりこんにゃく問答している時も お台場の観覧車は回り続けて
東京タワーは輝いていた
まあ 明日からの在宅介護講習を受けて 何かわかるだろう
って ことで病院を後にして ひとり銀座をぶらつく
景気がいいのか 月曜なのにいい気分の人間が多い
しかしそんな楽し気な顔はしていない
どこか不安そうに 酔っている 騒いでいる
「バカ」「うるさい」
親父がホワイト・ボードに書いた気持ちはこれなのか
四月の風は ちょっと冷たかった