川の終り 海の始まり

水門跡

昔 この場所で川は終わり
この場所から海が始まっていた
今は地中に太い大きな土管が
汚水を流していることだろうに
草花は四月の陽射しに燃えて
木々は爽やかな風にゆれて 匂いをまき散らす
でも 人は騙せない
この空洞の歯茎を持つ緑道に立てば
靴の下に虚無を感じる
終わり 始まる重大な場所を埋めてしまったのは
他でもない 虚無を感じる人々だった
永遠に 繰り返される この過ちに 気付く時はあるのか
いつしか 水門跡のレンガの壁が崩れ落ち
ぽっかりと開いた証拠を見て 愕然とするしかないのだろう