こうして夜明けの月に照らされて

光る眼のバク

こうして夜明けの月に照らされて 歩いていると
変わらない景色に安心する
多分 安心した途端 景色の一部になっているんだろう
そーすると 不安定な歩幅も安定し 何を見るわけでもなく
バクに引きずられることもなしに
海からの冷たくなった風を感じ
疲れや後悔も棚上げして ただ 歩ける


しかし 朽ち果てたバス停などを見ると
ぶるっと 背筋がふるえ 明日のことなど考えてしまう
そんな時 バクの頭は便利だ
手のひらで触れると 温かい
親父の足よりも 母親の手よりも 温かい
眼光は同居している大工さんMさんより はっきりこっちを見ている


そーしてまた 景色に戻る
もう 明るくなってきた朝の景色に 無理矢理 入り込むのだ