喫煙場所を求めて

hirobumisuzuki2006-02-03

銀座の灰皿は吸い殻の山。
首都高速の振動に揺れて今にも崩れそうだ。
父を置いて、某禁煙場所から喫煙場所を求めて、ふらふらと何分歩いたろうか。
寒いのに陽射しだけは強く、町は眩しい発光体であった。
何人か道に寝る人を飛び越えて、やっと見つけた。
ふと、思う。これからここに来る機会が多くなるんだな、と。
でも、風が強くて火がつかない。ジッポでさえ火がつかない。
煙草をくわえたまま、天を仰いだ、ふりをして、風を騙し、火をつけた。
味気ない煙りが肺に充満するのがわかった。
煙覚がキュンとなる快感はない。
ここに来る人はみんなそう感じたのか、吸い殻が長い。
たて続けにもう一本、風の隙をついて吸ってみる。
大気が煙草を短くしてゆくだけだった。
背を丸め、またあの禁煙場所に帰ろう。